ジャパンアンブローズ

ジャパンアンブローズ

模型用の図面を引いて「ジャパンアンブローズ」を作り始めました。図面は柳原良平編集「船の雑誌3」にあった400分の1のものを200分の1に引きなおしました。コンテナ船はサイズは大きいですが、大した構造物もなく、作り始めるとあっという間に形になります。総トン数35,000トン、全長228メートル、幅32.2メートルとかなりのグラマーです。1972年竣工。

その後オイルショックで採算が取れなくなり、僚船達と1987年にジャパンライン全額出資のグリーンインベストメンツ(株)に譲渡され、ジャパンラインがチャーターバックし運行継続、その後の消息不明。

戦前の商船については、まがりなりにもいろいろな文献、資料がありますが、戦後の船、特に貨物船(コンテナ船、タンカー、鉱石船、撒積船等)については基礎的な資料が少なく調べるのが大変です。不況で船社は合併等の統廃合を繰り返し、社史も内容が大雑把で個別の船の情報を得ることはできません。本船の船主であるジャパンラインも日東商船と大同海運が1964年に合併してできた会社ですし、その後山下新日本汽船と合併してナビックスラインとなり、更に商船三井に吸収合併されました。このような戦後の海運界の変遷をまとめた資料は皆無ではないでしょうか。

模型を作る立場から言うと、たとえばこの「ジャパンアンブローズ」の資料が欲しいと思ったらどこにお願いすればいいの?商船三井に情報が引き継がれているでしょうか。おそらく全くわからないと思います。私のようなモデラーは少ないですし、そもそも船に関心のある人はいません。船会社は船の記録を残すことに不熱心で、記録はどんどん失われていきます。例外は日本郵船と商船三井で、苦しい中でも横浜の郵船博物館はがんばっています。商船三井は熱心な個人の方の力作による資料があります。その他の船会社の船の模型を作成するのは大変です。せめて公けの立場の資料館、博物館がまとめてくださればいいのですが。横浜桜木町の「横浜みなと博物館」の資料室はかなり充実していますが「ジャパンアンブローズ」の写真1枚もありません。寂しいです。なお「船の科学」新造船紹介頁に記事があるかもしれませんが未確認です。