レックスその１４

船尾の外板ですが、本船はカウンタースターンであることは再三にわたり記しています。普通のカウンタースターンは、舵の上部が水面上に出ていて、舵柄がそのうえの舵取り機室につながっています。氷川丸やタイタニックはこのパターンです。

しかし、もうひとつの形状のカウンタースターンがあります。下の写真をご覧ください。

この両船は有名な船です。左はキュナードラインのモーレタニア、右はユナイテッド・ステーツ・ラインのリヴァイアサン（元ドイツ船ファーターラント）です。写真を見ればお分かりのとおり、舵は水面上に出ていません。

これは、舵は敵に狙われる船の弱点であり、ここを攻撃されると身動きできなくなるため、建造にあたり戦時には特設巡洋艦や軍隊輸送船になることが予定されている船の場合、舵を水面下に隠すような造りになっているのです。

上左の写真のように、本船レックスも、舵が水面上に出ない構造になっています（この写真は広角レンズで撮影されたため、実物よりもスマートさが強調されている）。

もっとも、本船は戦時に特設巡洋艦となることは予定されていないと思われ（イタリアが特設巡洋艦を必要とすることはないし、この規模の軍隊輸送船は地中海では不要。現実でも戦争になると本船は係留されてしまった）ので、デザイン上のものと考えられます。